フィクサー (2007)
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真っ当な人間ドラマ
2008/10/22
by
tamakazu
最近分かってきたことがある。ボクが面白いUS映画は、犯人を捕まえるために車で逆走したりビルがブッ壊れたりしないで(その陰できっとたくさんのヒトが怪我してるはずと思うと・・・)、誰も地球なんか救わない、そんな映画だ。US映画は大爆発大音響が多いけど、脚本がしっかり人間を描いていれば映画になるし、役者がちゃんと演技して監督の演出がぶれなければ、立派な観せものになんだと。
妙な感想だけどこの「フィクサー」、観る前は「カンバセーション/盗聴」のような緻密で鬼気迫る映画だと思っていた。宣伝文句が「極上のサスペンスが誕生!」だなんてちと大げさだったものだから・・・でも詰まんなかった訳ではなく、極々真っ当な「人間ドラマ」でよかった。
環境汚染による訴訟問題をなんとかウヤムヤにしたい巨大農薬企業のウソがばれそうになって、焦った法務担当役員が追いつめられた挙句・・・。
この隠滅工作に巻き込まれた弁護士が、ジョージ・クルーニー。相変わらずいい味出してるこのオッサン(ERの頃から女たらしだったのに、今回はなんとレストランに手を出してた!)、弁護士がたくさん集まっている著名事務所に所属して専門は裏取引やもみ消し。その実、離婚や財産の差し押さえにヒーヒーしながら日々を送ってる借金体質なオヤジ。フィクサー=もみ消し屋ってことだけど、劇中では大したことしない。この映画ではカッコ良さなど微塵もなく中年の悲哀を巧く演じていて、こんなクルーニーもいいじゃんか、なんて(映画の中の彼はただ運が良いだけと思えるくらいの危なさです)。
また、好感は持てなかったけど後から巧い演技だったなぁと思えたのは農薬企業の法務担当者役のティルダ・スウィントン。スピーチの練習や服装のチェックなどに神経を使い、エリートである自分の地位を護るためなら何でもするわよって感じの、人間の名誉欲や金銭欲をむき出しにした演技で完璧だった(こんな管理職、日本にもうようよ居るよね。保身のた為なら誰でも踏みつけるって奴!)。このヒト、ボクには嘘臭い印象が強いUSアカデミー賞を受賞したそうだけど、今回の演技はまっとうな受賞だったのではないかと。だってホント自然で隙の無い演技だったから。
上映後、世界中の企業と弁護士事務所の間で毎日金が飛び交って嘘で丸め込まれているんだろうなぁって思えて、決して爽やかではない印象を残したところがこの映画の立派で好きな所でした。
と云う事で「フィクサー」は80点にします。狭くて少しギィって鳴る懐かしい椅子のまんまの三軒茶屋東映の階上フェンスの間際で観ました。
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