たんたんたぬき さん

たんたんたぬきさんのレビュー一覧

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21件中1-10件

  • 80点 大人の童話(0)

    2008年11月9日 to 迷子の警察音楽隊

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     鮮やかな水色の制服を着た、浅黒く彫りの深い顔のアラブの男達が、所在なげに並んで迎えを待っている無言劇のような冒頭シーンから、作品全体のトーンが伝わってきます。
     
     異国の見知らぬ土地に、図らずも滞在することになった警察音楽隊の面々、その一夜の出来事を綴った90分あまりの短い作品ですが、ほのぼのとした雰囲気とそこはかとないユーモア、絶妙の間がおいしい、いい作品だと思いました。

     アラブの盟主エジプトの警察官たちが、隣国でありながら建国以来決して良好とは言えない関係にあるイスラエルに赴く。両国の関係、距離感などを深くは知らなくとも、その微妙なシチュエーションが、彼らの心細げな描写の根底にあることは容易に想像がつきますが、そのあたりについての深読みが必要とは思いませんでした。

     異国からの突然の来訪者と、それを受け入れる辺境の町の人々、それぞれが母国語でない言語でぎこちなくコミュニケーションをとりながら、少しずつ心を通わせて行きますが、その過程の小さなエピソードの積み重ねによって登場人物像の輪郭も見えてきます。 このあたりの作りにも好感が持てます。

     隊長と食堂の女主人との交流、若く女たらしの隊員が初な若者に恋の手ほどきをするシーン、枯れかけていた初老の隊員が希望を取り戻すシーンなど見所が何点かあります。それぞれが自然で、妙な教訓じみていないところもオススメです。

     現代の大人の童話として、アラビアンナイトに書き足したいような作品です。

     

     

  • 80点 眼差しが語る心模様(1)

    2008年9月7日 to 悲しみが乾くまで

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    (C) 2007 DREAMWORKS LLC. All Rights Reserved.

    登場人物は少なく、10人に満たないかもしれません。それ故に、それぞれの人物像やこころの動きなどを丹念に作り込み、決して大袈裟ではないドラマが、深い味わいの作品に仕上がっていると思います。

     特にアカデミー俳優主役二人の役作りは見事です。 夫の死後、子供の前で気丈に振る舞いながらも時折見せるオードリーの女としての弱さ。亡き夫の親友ながら敗北者であるジェリーとの微妙な関係に、お互いが抱く揺れ動く思いとその変化、距離感の移り変わりなどを、とてもうまく表現しています。 また、一旦立ち直ったかに見えたジェリーが、再び麻薬に手を出し、禁断症状に苦しむ様は、まさに鬼気迫る演技です。

     しかし、それらを本物に仕上げているのは、デンマーク人女性監督スザンネ・ビア、ハリウッド初進出作品だそうですが、その手腕は見事です。 とても微妙で、難しい状況設定のドラマを巧みに映像化し、決して多くはないセリフと、眼差しのクローズアップを多用した独特の作画は上品で、静かな感動に満ちています。 

     先への希望が感じられるエンディングのすがすがしさも相まって、大人の鑑賞に堪える良作だと思います。

     

    共感:4人

     

  • 90点 すべてが市場原理か?(0)

    2008年8月10日 to 闇の子供たち

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    (c)2008映画「闇の子供たち」製作委員会

     途上国における闇社会、貧困からくる悲劇、全編を通した悲惨な描写は、かなり現実を反映しているとのこと。

     本作で描かれた幼児買春客たちの痴態は、憎むべき現実が存在していることを告発し、私たちが知らない影の世界を暴いて白日にさらしてくれます。 大多数の普通の者は、この変態野郎達を蔑み、悲惨な子供達の現実に心を痛めることになります。 売春宿でエイズに感染し、捨てられた少女がやっとの思いで故郷までたどり着き家族の元に戻りますが、その末路は本作中最も悲惨なシーンとして忘れられません。

    そして平行して描かれるもう一つのおぞましきテーマ、生きた子供の臓器売買については? 梶川の立場に自分が立たされたらと考えたとき、突然その重さが圧倒的な現実感を持って迫ってきます。この夫婦の言葉に、どこかで共感している自分の心に恐怖と嫌悪を抱いてしまいます。手術を阻止しようとする者、事実を告発しようとする新聞記者、我が子を救いたい親、三者三様の思いが交錯する梶川家のシーンは、象徴的で、とても考えさせられる演出だと思いました。

    エンディングのワンシーンについては、賛否が分かれると思いますが、残念ながら私は違和感を抱きました。 上映終了後、これについての客同士の会話から、ストーリーの結末を一部曲解しているニュアンスが聞き取れ、その感を強めました。

    豊原功補演ずる清水が異国と日本の距離感を縮め、リアリティを高める役柄として印象に残ります。そして、タイ人の重要な登場人物男女二人が、日本人に対してぶつける強い嫌悪感は、強烈なパンチを私達に食らわせます。

    サスペンスとしての結末も楽しめますし、最後まで釘付けられる質の高い社会派作品として高評価したいと思います。 

     

    共感:5人

     

  • 40点 スケールダウン。(0)

    2008年8月7日 to スターシップ・トゥルーパーズ3

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    (C)2008 Star Troopers (Pty) Limited and ApolloMovie Beteiligungs GmbH. All Rights Reserved.

    第1作の流れを汲むパート3、待ちに待った鳴り物入り(?)公開・・のはずだったのに、既に、何人かの皆さんのレビューで語られているとおり正直がっかりです。

    なんといっても、凶暴バグズがあまりにも迫力不足。予算の都合なのか、CGの出来が前作よりダウンしてしまうというのはどういうことでしょうか? 装甲昆虫の質感もアニメのように見えてしまいました。

     全体のプロットは意外性もあり、悪くないと思います。「戦争と宗教」を絡め、次は「神の軍隊か?」と思わせるシニカルなエンディングも、それなりに評価できますし、平和活動家がテロリストとして公開処刑されるなど、平和を完全否定された地球連邦国家の描き方も、この1作目の流れをうまく踏襲していると思います。 

     しかし、SFとして期待した場合には、スケールダウンの感が否めません。 原題にもなっている「Marauder」の活躍シーンも、満を持してかっこよく登場・・した割りにはあっけなく勝負がついてしまい、巨大バグズ「ベヒモコイタル」の異形も、そんなにはオソロシくなく、「惑星の大きさに匹敵する」迫力はまったく伝わってきません。

    相対的に、バグズのパワーより地球人の火力のほうが勝っているようでは、おもしろさが半減してしまうのではないでしょうか?

    結果、B級テイストの裏にあるせっかくの反骨・批判精神さえもチープに見えてしまっては、ファンとしては報われませんよね。

    余談:映画の日の夕刻鑑賞したシネコン、200席ほどの小さいスクリーンでしたが、ほぼ満員の座席を埋めていたのは自分を含め、ほとんどおっさんでした。う〜ん、複雑。

     

    共感:2人

     

  • 80点 S.O.Sの送り先は。(0)

    2008年7月31日 to 告発のとき

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    (c)2006 Elah Finance V.O.F. Films/pulling focus pictures Inc.

     あまり多くの予備知識を持たずに望みましたので、行方不明の息子を捜す謎解きミステリー的なテーマの作品と思っていましたが、それだけではありませんでした。 いい意味で裏切られました。

    マイクの死の真相へ迫る過程で、彼が戦場イラクで何を見、体験し、心をどのように変化させていったかが明らかになるにつれ、その闇の深さを父ハンクの目線を通して知ることになります。 軍人一家に生まれ育ち、正義感に溢れたよき青年が、戦場の狂気により心を破壊されていく事実はあまりにショッキングで、言葉もありません。 

     そして、更に暗鬱になるのは、マイクを惨殺した犯人のセリフ、「自分たちがマイクを殺したが、時と場所が違えば自分が殺されていたかも・・」。 そして、父に謝罪をするその目に精気はなく、うっすらと笑みさえ浮かべる表情はまるで抜け殻のようです。 

     このところ、米国の映画シーンはイラク戦争への反省ブームともいえ、この種の作品が多く作られています。 自由と正義と名の下、世界中に軍を送り続ける覇権国家アメリカ。その国が、逆さ国旗を掲げなければならない事態に陥っているとしたら、それはいったい誰に向けてのメッセージでなのでしょうか? そして、その混迷の出口は何処にあるのでしょうか? 

     

    共感:3人

     

  • 80点 SWワールド再び!(0)

    2008年7月24日 to スター・ウォーズ エピソード1:ファントム・メナス

    Episode1製作開始のアナウンスを耳にしたときの驚きと興奮は、言葉では語り尽くせないほどです。
    15年以上ほぼあきらめかけていた続編(?)に触れることができるヨロコビは、フリークの方にはお解り頂けるでしょう。
    この間、旧作を繰り返し観、スピンオフ小説を読みあさり、PCのデスクトップを密かに飾り・・焦がれ続けた思いで迎えた公開日、A long time ago・・の蒼い画面と白い文字を目にしたときは、涙があふれてまいりました。

    内容については、旧3部作の世界観とかなり違っていましたので、いささかとまどいを覚えましたが、それでも劇場に4回足を運び、どっぷりとはまりました。

    作品内容についてのレビューになっていませんね、スミマセン。

     

    共感:3人

     

  • 80点 名画座にお似合い(3)

    2008年7月13日 to 潜水服は蝶の夢を見る

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    (c) Pathe Renn Production-France 3

    人の尊厳を問うた格調高い感動作といった作品かに思えますが、意外ににそうではありませんでした。 前半は、言葉を発せないジャン=ドーの心の声と目線での映像で描かれますが、その言葉には、このような状況での心情とは思えぬユーモアが漂い、彼の人となりが推し量られます。 

     そして、まるで重たい潜水服を着せられ深い海の底に一人取り残されたような状況にあっても、「想像力と記憶で僕は、蝶が自由に舞うように、自分をどこにでも連れて行ける」思いを抱いた彼のイマジネーションが映像化されるシーンは、時に美しく、時にエロチックに、時に暖かく表現され、作り手の素晴らしいセンスを感じます。

    後半になって、カメラは"普通"のポジションに移り、ジャン=ドーの姿を初めて見ることになります。 大きく開かれてきょろきょろと良く動く左目、そして、それと対照的な無表情、病に倒れる前の人生を謳歌する元気な彼も。 前半の、どちらかと言えば観念的な映像から一変して、現実と過去との落差を直視させられます。 その哀れを誘う姿が、見る者の心を痛めることも確かにあります。 しかし、彼を取り巻く人々との接点の描写が、彼の人間くさい普通の人ぶりをよく表していて、特別ではなく、身近に感じるのことができる作りになっているのです。

     身体の自由を奪われたジャン=ドーの服が、病人のそれとはまったく違い、いつもしゃれたいでたちなのにも、ココロをくすぐられます。

     美しい映像、そこはかとない愛と希望が漂う大人の鑑賞に堪える素敵な作品だと思います。

    at 横浜ジャック&ベティ

     

    共感:2人

     

  • 70点 ちゃんと怖いです。(0)

    2008年6月27日 to ●REC

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    (C)2007 CASTELAO PRODUCUTIONS,S.A.

    P.O.V.なる手法とのこと。現場に居た人が撮影した衝撃映像が映画そのものになっているというアレですね。

    「撮るのよ全部!」という主役リポーターの言葉が最後まで繰り返されることで、その必然性を強調しているという訳ですね。
    先の秋葉原事件の時も、多くの人が現場に向けて携帯やら、デジカメやらを向けて撮影している風景を見たばかりなので、こんな作品が次々登場する時代的な背景が整ってきたということでしょうか。

    手持ちカメラの撮影者がTVクルーという設定なので、高速パーンがほとんど無く、ブレも少なかったので見ていて目を回したり、酔うこともなく助かりました。

    作品中BGMはまったく使われていませんし、ビデオカメラの生中継を見ているような作りがリアルさを醸しだし、観客は視野が限られることで、見えないところへの恐怖心を煽っているのかもですね。

    状況設定に、やや無理があるなと思うところもありますが、そのあたりはホラーを楽しむにはそこそこ目をつぶるべきかと・・。
    閉鎖空間、スプラッタ、オカルト的要素など、低予算と思われる中で、怖がらせ要素がいろいろ工夫されていて、かなりいいセンいっていたと思います。
    中盤以降、「ぐー」に握った手に相当チカラが入り、汗もかいてしまいました。 
    フォトギャラリー 1)2)のシーンには、唸ってしまいます。

    「●REC」というタイトルの意味を、最終版に念押しするあたりに、この手法への作り手のこだわりを見たような気がします。

    余談:見終わった後明るくなた場内の近くにいたカップルの会話。女性「もっと怖いかと思った」青ざめた男性「・・・」

     

    共感:1人

     

  • 80点 生還者の記録?(0)

    2008年6月23日 to キリング・フィールド

    最近、10年ぶりくらいにDVDにて見ました。

    "Forgive me." "Nothing to forgive you, nothing." イマジンのメロディーに乗って交わされる米国人とカンボジア人二人の短い言葉、このエンディングは涙なしでは見られません。

    実在のジャーナリスト、シドニー・シャンバーグと、カンボジア人助手、ディス・プランの友情を描いた物語ですが、公開当時、この作品から、クメール・ルージュによる300万人超ともいわれる大虐殺の現実を衝撃を持って目にされた方も多いと思います。想像を絶するすさまじい殺戮と文明破壊、その一端を垣間見ることができるという点でも評価できると思います。

    強制農場から脱出したプランが目の当たりにして身震いした、累々と屍が連なる“killing fields”の光景は目を覆いたくなります。

    ディス・プラン役のハイン・S.ニョール、その静かで見事な演技は随所で見る者の胸を打ちますが、俳優は本業ではなかったとのこと、実際にポ政権の期間を生き延びたことに裏打ちされたものだったのですね。

    そして、音楽はあの「チューブラー・ベルズ」のマイク・オールドフィールド。納得です。

    一方、マルコヴィッチが演じたカメラマン、ロッコフが、プランを利用し見捨てたとして、シャンバーグの行為を責め、本人も苦悩する様子が描かれますが、このあたりの表現がちょっと物足りなくは感じました。

    とはいえ、自分の中では生涯心に残る作品であることは間違いありません。

    余談:作品の前半、政府軍の女兵士が聴いているラジオから流れてくるのはウイングスの"バンド・オン・ザ・ラン"ですが、エンディング曲との対比に意味があるのでしょうか?

     

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  • 80点 凧追い名人の友情(2)

    2008年6月14日 to 君のためなら千回でも

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    (C) 2007 DreamWorks LLC and Kite Runner Holdings, LLC. All Rights Reserved.

    70年代のアフガニスタン 平和で活気のあるカブールの風景が活き活きと再現されていることに、冒頭から心をわしづかみにされます。 そして、それに華を添えるCGを駆使したと思われる凧合戦を追ったアクロバチックなカメラワークは、テクノロジーの上品な使い方として秀逸だと思います。 そして、後半ソ連侵攻後の、荒廃した町並みをリアルな対比をもって見せるチカラは「さすがアメリカ映画!」と唸らされるところです。

     ストーリーの本筋は、主人公が過去の過ちに対する贖罪がテーマですが、そこに至るすべてのエピソードが丹念に作り込まれていて、誰でも心に思い当たるであろう、自分の犯した過去の過ちへ「許し」を願う心の琴線に触れる作品になっていると思います。 そして、生まれや民族問題、時代と政治や社会情勢に翻弄された2人の少年の、それぞれの立場と友情を軸に、人が持つ様々な要素も描き出され、人間ドラマとしての深みが見て取れます。  
     
     メインの少年二人も勿論ですが、主人公アミールの父親がとても魅力溢れる人物として描かれていて、とても素敵でした。 そして、アミールに強い影響を与えた、父親の友人ラヒム・ハーンも同様です。 この頃の男達は、かっこよかったんですね。

    at 立川 CINEMA CITY

     

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